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12年間iOSだけやってきたエンジニアのキャリアチェンジ

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iOSだけを12年間もやってきたフリーランスiOSエンジニアです。ここに来てついに新しい挑戦をすることにしました。

4月からSansan社に就職して、研究開発部門のマネージャーをやります。

このキャリアチェンジには3つの点で新しいチャレンジがあります。

これぐらいギャップのある今回のキャリアチェンジですが、ここに至った経緯や考えを書いておこうと思います。

経緯

価値観の変化

プログラマーになって10年近く、とにかく自分の手でものを作れることが楽しく、ただひたすらに手を動かすことだけをやってきました。楽しくて、稼げて、自由度も高い。そこに一切の疑問を持つ余地はありませんでした。

少し状況が変わってきたのが2018年9月。第一子が誕生し、家庭の事情により私がメインで育児を行うことになりました。今まで好きなときに好きな場所で好きなだけ仕事ができていたのが、まず育児の都合があり、次点で仕事をしてもよい、という状況になりました。

これによりタフな仕事、移動を伴う仕事、時間の縛りが厳しい仕事etc.は受けることができなくなり 1、「興味のある技術を学び、発信して、おもしろい仕事を得る」という10年間回してきたサイクルが初めて揺らぐことになりました。

Sansan取締役の方からのメッセージ

そんな折、Sansanの取締役でありEight事業部長 兼 技術本部長である塩見さんからFacebookでメッセージが届き、オンラインミーティングにてこのポジションについて打診をいただきました。2

数年前に同じ話をいただいていたらもしかしたらまったく興味を持たなかったかもしれません。

ただ今の私にはこれ以上なく面白いチャレンジに思えました。(後述します)

選考

最初のメッセージをいただいたのが2021年12月20日。興味ありますとお伝えし、年末年始休みを挟んで年明けから2度ほどの面接を経て、オファーをいただきました。最終的な返答をしたのが1月20日。ちょうど1ヶ月で浮上し、決まったキャリアチェンジでした。

ちなみに就職活動をしていたわけではないので、他社の選考を受けたり比較検討したりは一切していません。

面接内容で印象に残っているのは、最初に

自己紹介を10分〜15分ぐらいで話してください

と言われたことです。

いつも話が長くなりがちで短くしなきゃ短くしなきゃと思ってる自分としては「えっ、そんなに長々話していいの!?」と嬉しくなりました 3。自分の考え方や仕事観を根掘り葉掘り聞いてくれて、非常に楽しかったのを覚えています。

興味を持った理由

冒頭で書いたとおり、私はマネジメント経験も研究開発部門がやっているような技術のバックグラウンドもないし、ずっとプレイヤー志向だった人間です。

なぜ今回のポジションをやりたいと思ったのか。また、門外漢の自分がどう貢献できそうと考えたのか。について書いておきます。

非線形な機会」だった

尊敬する先輩エンジニアの

勘違いした話しほど面白い案件はない

という言葉がとても印象に残っています。

フリーランスは何らかの既存の技術や実績を買われて仕事の依頼がくるもので、そこにももちろん新しい学びや経験は多くあるのですが、あくまで自分のこれまでの延長線上にある機会でしかありません。

しかし今回は、

  • iOSばかりやってきた人間に研究開発部門
  • フリーランスを好む一匹狼型プレイヤーにマネジメント

という「なにかの間違いでは?」と思えるようなオファー。明らかに僕がこのままフリーランスiOSエンジニアを続けていった延長線上にはない、「非線形な機会」です。

もともと、何をやるにもとにかく「時間がない」ことがボトルネックとなる状況が慢性的に続いていて 4、今の自分にもっとも必要なのは「人に任せる」スキルでは、と何年も課題に思い続けていました。

ただ、「自分でやる」のが好きでエンジニア稼業をやっている身。なかなかそこに踏み出せずにいました。かつて「英語を話せるようになるには英語を話すことだ」と思い英語しか話せない環境に飛び込んだように、マネージャーという「人に任せることしかできない環境」に身を置く今回の機会は、自分にとって不意に舞い込んだ重要なチャンスのように思いました。

「裏方として人の人生を応援するのも良いものだ」と思えるようになった

ずっと「自分の」技術力を磨き、「自分の」手を動かしてつくることが楽しく、マネージャーやリーダーになることには1ミリも興味がありませんでした。

そんな価値観が変わってきたひとつのきっかけはコミュニティの運営です。

僕が運営するコミュニティは当初サロンとして立ち上げましたが、今では僕自身が直接提供する価値はほとんどなく、僕は空気のような存在です 5。僕より技術力の高いエンジニアの人たち、僕にはない経験をしたことある人たち 6、僕より教えるのが上手だったりコミュニケーションが上手だったりする人たちが多くいて、教え合ったり励まし合ったり雑談したり、またイベントが開催されたりと、僕の介在しないところで価値のやり取りが行われています。

そんな中で、「裏方として」立ち回って皆が楽しく過ごす場作りをするのも良いものだな、という新しい価値観が自分の中で芽生えるようになりました。

マネジメントもいろいろなスタイルがあるとは思いますが、裏方としてメンバーが働きやすい状況・環境を整えていく、というのもまたひとつの役割だと思います。そういう観点でみると、まったく畑違いの門外漢「だからこそ」裏方としてメンバーを支えることに徹することができそう、そして今の自分はそういう仕事を楽しめそう、と考えました。

まとめ

長くなりましたが、iOSばかり12年やってきたフリーランスエンジニアが研究開発部門のマネージャーをやることになった経緯と考えについて書かせていただきました。

入ったらどんなことをやるのか、どういう貢献ができそうなのか、というのはまた「後編」として別記事に書くか、追記したいと思います。

入社まで残り数日となった今、心境としては不安が5%、楽しみ95%という感じです。こういうチャンスをいただけたことに感謝し、楽しみつつがんばりたいと思います。


  1. リモートワークよりも「オフィスにいってお客さんの横で一緒に仕事をする」ことを好んでいましたが、育児の都合ですべての案件をリモートにせざるを得ませんでした。(その後コロナが来てみんなリモートになりましたが)

  2. 最初に声をかけてくれた塩見さんは、長らくEightの事業部長をされていて、フリーランスエンジニアとして何度かお仕事をさせていただいたことがありました。何かを気に入っていただけたようで、今回だけでなく、これまでも折に触れて声をかけていただいてました。

  3. もちろん僕のことをめちゃくちゃ知りたいというわけではなく、そのプロセスの中でどんな考え方をするのかを見る質問だったようです。

  4. これはもう子供が生まれるよりもずっと前から。とにかく何をやるにも時間がボトルネックとなっていた。 https://note.com/shu223/n/n46a4c4d49fc5

  5. サロンがコミュニティに変化していった経緯はこちらのYouTubeにて詳しく話しています。

  6. たとえば土地を買って家を建てる経験があったり、起業・会社経営の経験だったり、車に詳しかったり、税務に詳しかったり、現役薬剤師さんだったり、自家発電して電力会社に電気を売っていたり、多くの有名なアニメで作画をしていたりと、基本的にみんなエンジニアではあるのですが本当にいろんなバックグラウンドの人がいます。


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