iOSDC Japan 2021、非常に楽しませていただきました。多くのセッションとスライドで勉強させていただいたので、いずれまたnoteにでもまとめていきたいと思います。
ところで、私も(幸運にも)2006〜2020まで毎年登壇させていただいておりました。先日ひさびさに動画を見返してみたところ、これが2021年の今見てもなかなか良く、過去のものだからと二度と誰の目にも触れないのは寂しいと思ったので、自分的ベストプレゼン順にご紹介したいと思います。
第1位:飛び道具ではないMetal(2017)
みなさんのお時間をなるべく取らないよう、いきなり1位からいきます。自分的ベストプレゼンです。
最初のつかみもよく、最後のQ&Aまで良い。
- 当時ほとんどの人が興味がなかったであろうMetalをテーマにしつつも、ちょっとでも多くの人に興味を持ってもらえるように、という姿勢が感じられるつかみ
- 難しい内容を独自の切り口で噛み砕いてわかりやすくしている
- それでいてふんわりとした話ではなくしっかり中身がある
- 今見ても古くない内容
第2位:Depth in Depth(2018)
- デモが豊富で、「プレゼンならでは」感
- デプスとは、から始まり、視差やToFのしくみの解説、そして応用まで網羅
- 静止画・動画・ARKitも網羅
- 今見ても古くない
- 登壇当日の朝に子供が生まれるというライブ感のあるドラマ
iOSDC登壇当日の朝に生まれた👶が今日で3歳になりました。
— Shuichi Tsutsumi (@shu223) 2021年9月1日
もうぺちゃくちゃ喋るし、自分から謝ったりもできるし、すっかり赤ちゃんではなくなったなぁと。まだオムツですが。感慨深い。#iOSDCで「深度(デプス)」について話しましたhttps://t.co/sg0tWHsfdJ
第3位:海外カンファレンスに登壇する(2016)
- 「自分ならでは」の経験をベースにしたテーマ
- 実際の英会話の録音や、Q&Aで固まった話は勇気づけられる人が多いのでは。
- 今は時勢が悪いが、またカンファレンスがオフライン開催されるようになったら、海外で働くことや海外案件獲得に興味ある人には参考になる知見があると思う。
第4位:機械学習のブルーオーシャン Core ML(2020)
- 内容としては、Core MLの一歩深いところを解説しようとしている点は良い。が、後半の解説は誰にも伝わってないと思う...(わかってる人だけがわかる系の解説)
- オンライン開催&事前収録の特性を活かし、録画したものを編集してテンポよくしたのは良いと思う。
- 自分のYouTubeチャンネルを持っていることを活かし、発表当日に字幕付きのものを公開した点は良かった。
#iOSDCでの発表動画、今見たら1700回以上も見られていた。公式チャンネルだと100回未満がボリュームゾーンなので「発表当日に公開」は文字通り桁が違う効果があった🎉鉄が熱いうちに打つの大事。
— Shuichi Tsutsumi (@shu223) 2021年1月8日
機械学習のブルーオーシャン Core ML by 堤 修一 https://t.co/uE2f03brKb
第5位:今こそwatchOS(2019)
- watchOSアプリ開発が盛り上がっていた頃の背景を踏まえて今どうなっているか、という切り口はまぁありだったと思う。
- デモが豊富なのも良い
- BLEのデモが繋がらなくてリアルタイムデバッグするところはライブ感あって良いと思う。
・・・が、
- 結局自分でwatchOSアプリ開発をやってないので、散漫だし浅い。
- Metalもデプスも発表・執筆ドリブンで勉強してその後多くの仕事につながったが、watchOSに関してはこれっきり触れる機会がなかった...
余談(iOSDCと人生)
もともとは「過去の登壇も見てほしい!」と思って書き始めた本記事ですが、書いてるうちにいろいろと考えさせられました。
以下記事のテーマとは関係のない余談(内省):
直近の2年のプレゼンが自分の中で下位にあり、このへんで登壇者としては心が折れてしまったような気がします。自分の期待値と、要する努力量と、実際に出せるアウトプット品質のバランスが取れなくなってしまったような感じ。
人生ステージが変わったのもあると思うし、それによって仕事への関わり方が変わったのもあるし、世の中も動くことで相対位置が変わったのもあるし、発信スタイルが変わったのもあるし、それら諸々によってマインドが変化したというのもあるんだろうなぁと。
弊コミュニティのSlackにiOSDC直後に以下のような投稿をしていたのですが、
大規模カンファレンスに出ると、なんか毎度自分の今後の身の振り方について見直したくなる 何を強みにして、どういうあたりに時間を割り振っていくのか、どういう世界に対してプレゼンスを出していって、何をあきらめていくのか、とか。
多くの人の専門性とか、各社における活動とかそこで積んでいる経験とか、発表に対しての反応(≒その人のプレゼンス)とか、 そういういろんな人の生き様を一気にたくさん浴びるからだろうなぁ
僕が登壇者としては心折れてしまった一方で、昔も今も素晴らしい発表をされ続けている方もいて、刺激を受けるし、さて自分はどうしていこうかと人生を考えさせられもしました。
結論はないですが、引き続きどう楽しくエンジニア人生をやっていくか、模索し続けたいと思います。