今月の中旬頃、オンラインサロンを始めました。
エンジニアと人生コミュニティ - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
5/13に募集開始し、翌日には100名の募集枠が埋まりました。今は定員いっぱいで新規で入っていただくことはできない状態ですが、自分にとって非常に新鮮な試みなので、初心を忘れないうちにそのコンセプトやねらいについて書いておこうと思います。
オンラインサロン=胡散臭い?
という認識を持っている方も結構多いのではないでしょうか。
- 基本的にサブスク課金
- 原価のかかるものを売るわけでもない
- サロン主の拘束時間が明確に決まっているわけでもない
といったところから「労力をかけずにチャリンチャリンなビジネスモデル」を期待してオンラインサロンを始めてしまうインフルエンサーも多い1ため、こういうイメージが蔓延している2のかもしれません。
では弊サロンはどうかというと、掲げているサロンの「売り」が、
フリーランスiOSエンジニア堤修一と語り合うサロンです。Zoomミーティングでキャリア相談、フリーランス関連相談、技術的な相談etc.ができます。
と、基本的に「堤に相談できます」だけなので、あまりスケールしません。相談者の数に比例してかけるべき時間も増えるので、チャリンチャリンビジネスどころか本質的には時給モデルと変わりません。3
始めた動機
ではなぜ始めたのか?何が狙いなのか?
一番目の理由は、「そもそも僕が相談されたい」からです。
この動画でも言ってるように、そもそも僕は「自分の考えをもっと話したい」「でも誰からも聞かれてもないのにペラペラ語り始めるのは恥ずかしい」という(めんどくさい)ジレンマをかかえています。
なので、自分のポッドキャスト/Voicyでゲストが100個も質問を考えてきてくれたときは嬉々として回答したりもしました。
そういうのもあって、昔々に「タイムチケット」というサービスで30分500円で相談にのっていたことがあり、 僕自身も楽しかったし、わりと好評だったのですが、
しかし仕事をふくむ自分のすべての活動は時間を原資とするため、さすがに500円では長くは続けられませんでした。(時間を仕事以外の何かに投入することは自分の時給を自分で払うことに等しい)
そんなわけで、
- 「相談を受ける」という自分自身も楽しいことをやって、
- しかもタイムチケット時代よりは収益になる!
というのが本サロンをやる一番の動機です。
始めたきっかけ
話が前後しますが、「相談を受けるだけ」というコンセプトを思いつく以前、KBOY氏のFlutter無料講座 + オンラインサロンサポートのモデルに深く感銘を受け、自分でも入ってみたりしつつも、自分がオンラインサロンをやるイメージはまったくありませんでした。
- Flutterのように需要のある技術を教えられるわけではない
- 自分の得意領域であれ、そもそも初学者向けに噛み砕いて技術を教えることには興味がない4
- コミュニティやSNSコミュニケーションも苦手な自分が「価値のあるコミュニティ構築・運営」なんてできるわけがない
そんなこんなで、1000円や3000円を自分に払ってもらうモデルはまったく見えないなと。5
しかしふと閃いたのが、
「100円だったらどうだろう?」
というアイデアです。
- タイムチケットで30分500円でやっていたことなので、×100人で1万円ももらえるなら御の字
- コロナ禍でオンラインミーティングが世の中的に当たり前になっている
- オンラインミーティングはアーカイブをメンバー限定コンテンツとして後からも見れるようにすることで、リアルタイム参加できなかった人からも不満が出にくい(KBOY氏のサロンに参加しての気付き)
- しかもアーカイブはコンテンツの蓄積にもなる
- 可処分時間の不足をずっと感じている中で、子供が寝て奥さんとゆっくり話した後の22時ぐらいからの時間をイマイチ有効活用できていない
- 技術顧問業は独占的・クローズドに相談にのる⇔サロンでの相談はパブリック/顧問業の相談は即レス⇔サロンでのレスポンスは隔週、といった点で、相談業としてのコンフリクトはしないはず
- etc...
いろんなピースがカチッとハマった感じがしたのです。あれ、これいいんじゃない?と。
思いついてすぐにTwitterアンケートを取りはじめてみたのが5/12、
【アンケート】Zoomで僕にエンジニアとしてのキャリア相談やフリーランス関連の相談、技術的な相談もできるオンラインサロンをつくったら入りたい方いますか?
— Shuichi Tsutsumi (@shu223) 2020年5月12日
(「入らない」が圧倒的1位なのはご愛嬌)
当日のうちに500円 or moreの合計が120名を超えたので、需要は確認できたのでやるしかない
→ 鉄は熱いうちに打て、というわけでアンケート翌日の午前中にCAMPFIREコミュニティでサロンをつくって申請
→ 即日審査通過して募集開始
という経緯でほとんど一夜にして一気に事が進んだのでした。
アンケートでそこそこ需要ありそうなのを確認してよしやるぞとなったとき、
— Shuichi Tsutsumi (@shu223) 2020年5月15日
「これ今日中に始めなかったら腰が重くなって当面やらないな」
という感覚があったので、その日の作業予定を後回しにしてサロン名とか説明文も突貫で書いて午前中には申請したのが本当によかったhttps://t.co/VlX1EYjNZW
なぜ500円なのか
「なぜ500円なのですか?安すぎませんか?」と聞かれることもあるのですが、 上述したようにそもそも自分が1000円とかで人を集められるイメージがなく、
「100円ならいけるのでは?」
からスタートして、アンケートの結果「500円でもいけそう」となった、という経緯があります。
自分の開発時給がいくらであれ、「現時点での自分のサロンの価格」としては妥当かなと。
(追記)その他のモチベーション
「コンバージョン先」が欲しい
YouTubeチャンネルを持っていて、今のところ購読者数は約700、各動画の再生数は300〜1kぐらいなのですが、 基本的にエンジニア向け、しかもわりとシニア向け(初学者に刺さる内容はほとんどない)であることから、 超人気チャンネルになって再生数がものすごく伸びて広告収入で稼げる、みたいなことはないと思うわけです。
それはそれで、何らかの自分の別のプロダクトにコンバージョンさせればいいわけですが、
- フリーランス案件をいただいても時間がないし、
- 本はニッチすぎるので宣伝してもなぁという気がするし
...というわけでコンバージョン先が存在しない、という状態でした。
「エンジニアと人生チャンネル」を見て、僕の考え方や経験に興味を持ってくれた人が「エンジニアと人生サロン」に入ってくれる、というのはなかなか良いコンバージョンなのでは、と。
弊YouTubeチャンネルは趣味/ライフワークとしての一面もありましたが、これでビジネスとしての役割も得たので、時間を投入しやすくなります。
第1回Zoomミーティング
すぐに定員がいっぱいになったので、早速その週末に第1回のZoomミーティングを行いました。以下の相談に回答しました。
- 相談1
転職である程度ネームバリューがある会社(某M社)に入る際に、iOSだとこれくらいのスキルがあったら良い、こんなアプリが作れるくらいならいい!というような目安やスキルセットが知りたいと思っております。 今は、swiftに加えてfirebaseをメインに開発、勉強進めています。今年からエンジニアとして活動を始めたのでフォーカスする分野なども探っている段階です 転職に関してアドバイス宜しくお願い致します。
- 相談2
今、カメラと自作AIを使ったアプリのプロトタイプを作ろうとしているのですが、もともと僕pythonのスクリプトでしかプログラムを組んだことがなく、swift、iOS SDK、Xcodeの使い方もよくわかっていないのが現実です。 AIの動作確認だけできればいいため、そこまで難易度高い本はいらんとは思っていたのですが、Xcodeがしょっちゅう更新されるため、どの本読めばいいかわかっていません。 もし、日本語でアプリ開発についておすすめの本ありましたら、おしえていただけると助かります。
- 相談3
今、linkedin経由でgithubに上げたスクリプトをパーソナライズしてほしいで言われているので、フリーで仕事を受ける場合のtodoとnot todoついて伺いたいです。 フリーでやっていらっしゃる方も結構いらっしゃるようなので、他の方の意見も併せて伺えれば、嬉しいです。
- 相談4
現在バックエンドエンドエンジニアをしていて、pythonでMLを学習しようと思っています。 クライアント側と少し考え方は異なるかもしれませんが、堤さんがMLの基礎学習に用いた教材やドキュメント等があれば教えていただきたいです。
- 相談5
最初に海外で働いたときの始まり方と戻ってきてからの海外案件の仕事のとり方についてお聞きしたいです!
- 相談6
フリーランスに興味がある会社員エンジニアがフリーランスになる良いタイミングについて、皆さんに聞いてみたいです
毎回のZoomミーティングは録画され、相談別に分けられてアーカイブされます。メンバーになるとアーカイブにもアクセスできます。
今後の改善点
本サロンの良くもあり悪くもあるかもしれない特徴が、
- MetalやCore MLといった技術の話をしたい人たち(→技術面に興味)
- iOSエンジニアをこれから目指す人たち(→遅咲きエンジニア面に興味?)
- iOSとは違う分野のエンジニアの人たち(→働き方や考え方に共感)
- 海外で働いている/働きたい人たち
- フリーランスとしての働き方に興味がある人たち
と、技術レベルも興味のある点もバラバラ、というあたりです。上の相談リストを眺めてもその傾向はわかっていただけるかと思います。
僕としてはミーティングは途中入退室自由だし、オンラインなので作業しながら聞いててもいいわけだし、アーカイブもされるので、興味のないトピックがあれば聞き流すなり別の作業をするなりしてくれればいいかなーと軽く考えていたのですが、 匿名アンケートをとってみたところ思った以上にこのあたりの不満も散見されたため、次のように改善することにしました。
「専門的すぎる技術の話」問題へのソリューションとして、次回は次のようにしてみます:
- 「技術の話」とその他の「一般的な話」とをそれぞれ固める(相談1〜3は一般的な話、4〜6は技術の話、みたいに)
- 技術の話は長くなりそうであれば(何分までとかより話の深さで判断したい)いったん止めて一通りの議題がおわってから続きをやる
あと、僕に相談したいことが具体的にあって入ってきてくれた方は、相談してしまうともうサロンに入り続ける意義がなくなってしまうかもしれません。 また最初は僕の意見を新鮮に感じてくれている人も、だんだんワンパターンに思えてくるかもしれません。(根っこが同じ問題は答えも同じになってしまう)
そんなわけで、本サロンのLTV(Life Time Value)は結構低い気がしてます。まだ1ヶ月目なのでわかりませんが。
とくに後者の問題は「僕自身が同じ回答ばかりする自分に耐えられなくなる」という状況が容易に想像できるため、ゲストを呼んだり、調べつつメモを書いてそれをブログ記事にする実演だったり、案件依頼とそのコミュニケーションについてパネルディスカッションしたり6といったこともやりたいなぁと。
まとめ
オンラインサロンを開設したねらいについて書きました。 もし興味を持ってくれた方がいたら、 以下のページで「お気に入り」に登録しておいていただくと、退会者が出て枠が空いたたときに通知がくると思います。(今のところ2人の方が退会されています)
引き続き「エンジニアと人生サロン」(仮)をお願いいたします。
要出典↩
要出典↩
実際のところ弊サロンにはそれぞれ自身のチャンネルで有名だったり凄腕フリーランスだったりする人もいて、そういった方々がSlackで質問に回答してくれたりとか、わりとニッチな技術者同士の分科会ができたりとか、頻繁にもくもく会が開催されてたりとかのコミュニティ的なところも良かったりするのですが、それらは「たまたま」の産物であって、僕があらかじめサロンの設計として組み込んだものではないので、オフィシャルには「うちのサロンはこういうところがいいよ」とは掲げていません。↩
自分の勉強をアウトプットドリブンで進めるのはよくやります。本とかはその産物。↩
(2020.9.10追記)2回目の募集からは1000円になりました。今後も価格は変わる可能性があります。↩
100名のうち実に18名が現役フリーランス↩