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iOS 12のPortrait Matteがすごい/ #iOSDC 2018で登壇します

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iOS 12の新機能"Portrait Matte"(ポートレート・マット)の概要と、実装方法を紹介します。1

f:id:shu223:20180822200133p:plain:w393

深度マップとセグメンテーション

昨今のiPhoneではデュアルカメラ(iPhone 7Plus, 8 Plus, Xの背面に搭載)、あるいはTrueDepthカメラ(iPhone Xの前面に搭載)から深度マップを作成し、奥行きを知ることができるようになっています。

深度マップは、

  • AR表現における回り込み(オクルージョン)
  • モノや人物の背景を差し替える 2

といった用途に用いられます。

どちらの例も要は人物やモノの「領域」を検出して分割する(セグメンテーション)ところがキーで、深度マップはそのセグメンテーションにおけるマスクとして有用なわけです。

f:id:shu223:20180822190535p:plain:w600

(撮影した画像(左)と深度マップ(右))

iOS 12の新機能 "Portrait Matte"

深度マップ関連APIiOS 11から追加されたわけですが、iOS 12では新たに"Portrait Matte"なる新機能が追加されました。"Portrait Effect Matte"とも呼ばれます。

f:id:shu223:20180822200059p:plain:w600

(従来の深度マップ(左)とPortrait Matte(右))

聞き慣れない用語ですが、たぶんApple独自用語です。WWDC18の"Creating Photo and Video Effects Using Depth"から、「Portrait Matteとはなにか」という説明をしている部分を引用してみます。

so what is a portrait matte? A portrait matte is a segmentation from foreground to background and what this means precisely is that you have a mask which is 1.

0 in the background and you get soft and continuous values in between.

つまり、背景と前景の分離に用いるセグメンテーションに特化したフォーマットで、

とスッパリ分かれており、輪郭部分の髪の毛のような詳細もその間の連続値で表現される、というもののようです。

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True Depthな前面カメラからだけではなく、背面カメラからも取得できるようです。

It is available for both the front and the rear facing camera.

ただし、静止画のみ(動画では取得不可)かつ人間が写っている場合だけ取得可能です。

It is available to you with portrait still images and at the moment only when there are people in the scene.

Portrait Matteの取得方法

Portrait Matteの取得方法は従来の深度データ(AVDepthData)の取得方法と非常に似ています。

CGImageSourceを作成したら、CGImageSourceCopyAuxiliaryDataInfoAtIndexkCGImageAuxiliaryDataTypePortraitEffectsMatteを指定してAuxiliaryデータを取得すれば、

guardletinfo= CGImageSourceCopyAuxiliaryDataInfoAtIndex(source, 0, kCGImageAuxiliaryDataTypePortraitEffectsMatte) as? [String :AnyObject] else { return }

それをそのままAVPortraitEffectsMatteのイニシャライザに渡せます。

letmatte= AVPortraitEffectsMatte(fromDictionaryRepresentation:info)

AVPortraitEffectsMatteCVPixelBuffer型のmattingImageプロパティを持っており、そこからセグメンテーション用のマスクとしてCore ImageなりMetalなりで用いることができます。

varmattingImage:CVPixelBuffer { get }

iOSDCでiOSにおける深度データの諸々について話します

"Depth in Depth"というタイトルで、iOSDC 2018で登壇します。

Depth in Depth by 堤 修一 | プロポーザル | iOSDC Japan 2018 - fortee.jp

概要:

原始のiPhoneからカメラは搭載されていましたが、深度センサが搭載されたのは比較的最近のことです。カメラやGPSが、デジタルの世界と我々が生きる現実世界を繋ぐ重要な役割を担い、アプリ開発者に多くの創造性を与えてくれたのと同様に、「奥行き」がわかるようになったというのはアプリ開発の次元がひとつ増えたようなものです。本トークではiOSでの深度の扱いについて、取得方法だけではなく、細かいパラメータの意味やMetalでの処理まで詳解します。

まだ発表内容を遂行しているところですが、発表のゴールとしては次のようなものを考えています。

  • iOSで取得できる深度データにも種類があること、またそれぞれどういうものなのかがわかる
  • 深度データ取得の(ハードウェア的な)しくみがわかる
  • iOSにおける深度データを取得する実装方法がわかる
  • 取得した深度データを使い、背景入れ替えや3Dマッピングといった応用実装ができる

ニッチな内容ですが、iOSの深度の取り扱いについてのまとまった話を日本語で聞けるレアな内容だとも思いますので、興味のある方はぜひ聞きに来てください!(上のリンクから⭐ボタンを押しておくとタイムテーブルに反映されます。たぶん)


  1. 本記事はNDAに配慮し、Xcode 10やiOS 12のスクショは使わず、公開情報のみで構成しています。

  2. グリーンバックのように彩度をキーとして背景合成を行う技術はクロマキー合成と呼ばれる


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