お客さん仕事はわりと早いうちに納まったのですが、原稿書きがまったく納まる気配がないので、(現実逃避として)今年1年をふりかえろうと思います。
といっても「こういうお仕事をやりました」的なのは3ヶ月ごとにまとめているので、
- 独立してから第3四半期目の実績まとめ - Over&Out その後
- 2014年5月〜7月にやったお仕事のまとめ - Over&Out その後
- 独立して最初の3ヵ月間にやったお仕事のまとめ - Over&Out その後
ここでは主に、独立して最初の1年目 *1 を振り返ってみて「フリーランスになってみると意外だったこと」「考えが変わったこと」「やりかたを変えたこと」あたりの話を書こうと思います。
出勤した方が楽しい
独立当初は、フリーランスという働き方のメリットのひとつが、「場所・時間の自由」だと思っていて、必要な打ち合わせのとき以外は、家とか、自分が入居しているコワーキングスペースで作業するようにしていました。
で、お客さんもほとんどの場合それでいいと言っていただけるのですが、今は逆に、僕の方から「オフィスで一緒に仕事させてほしい」とお願いしています。
その理由としては、
- お客さんにすぐ確認できる・・・優先度や不明点を確認でき、作業の無駄が減る
- 遠隔でのコミュニケーションが苦手・・・誤解を与えない言い回しに苦労したり、でもそのあたりをサボるとお互い不要にイラッとしたり
- 温度感がわかる・・・直接話したり、一緒にランチしたりする中でその会社の状況とか雰囲気とか、やろうとしていることが実感値として理解できる
- 集中できる・・・やはり1人でやるより緊張感がある
- 見積もりレス・・・後述
などなどあります。
寂しくない
「会社には仲間がいるが、フリーランスは1人でやるので、寂しい」
独立前は僕もそう思っていたのですが、意外とやってみると逆の印象を受けました。
- フリーランスでも結局開発体制としてはチームの一員であることに変わりはないので、「一緒につくっている仲間」という感は会社のときと同様にある
- 個人的なコミュニケーションも仕事に繋がったりするので、勉強会や飲み会に行く時間が以前よりもっと有意義に感じるようになった
といった理由から、独立前よりもコミュニケーションや人付き合いは活発になった感があります。
個人でも楽しい案件に関われる
フリーランスになるにあたって迷いが少しあって、その理由のひとつが「会社の大看板に来る仕事の方が楽しいんじゃないか」というものでした。実際、カヤック時代にやった仕事はどれもおもしろくて、やりがいがあって、実績になるものだったので。
で、蓋を開けてみると、今年やらせていただいた仕事はどれもおもしろくて、やりがいがあって、実績にもなるものばかりでした。
- iBeacon+実店舗の初仕事がリリースされました(&独立のご報告) - Over&Out その後
- MoffとWHILLのアプリがリリースされました!その開発裏話など。 - Over&Out その後
- 真鍋大度さんとの初仕事 "music for the deaf" 振り返り - Over&Out その後
- (他の制作実績:[制作実績]記事一覧 - Over&Out その後)
今年は運がよすぎただけかもしれませんが、とにかく粛々と腕を磨いて、ちゃんとやりたいこととかやったことをアピールし続ければ個人でも道は開けるものだなと。
見積もりを(あまり)しなくなった
見積もりが結構苦手でして。。
たいていの場合、見積もり時点でUIデザインとか、動き(遷移とかタップしたときのギミック的なもの)とかって決まってることってほとんどなくて、でもiOSアプリの場合そこがそもそも開発の肝だったりするわけで。標準UIコンポーネントのプロパティをいじる範囲で済むなら3分だけど、自分でカスタムUIコンポーネントつくるなら丸1,2日かかるかもしれないとか。
で、ほとんどの場合、企画書にある情報だけだと
「1人日〜3人月ですね」*2
とか答えたくなるわけですが、お客さんに対してそういうわけにもいかないので、
「ここはどうしますか?たとえばこうしたい場合、選択肢としてはAとBがあって、それぞれメリット・デメリットは・・・」
とかやりたいことを引き出すことが必要になり、そういう不明確なところを質問にまとめたり、A案・B案みたいな枝分かれをさせつつ語弊や認識違いのないように・・・と回答を整理していくと、見積もりだけで8時間とか平気でかかってしまいます。
かといってざっくり見積もるとトラブルの元になるのでよくない、かといってお客さんからすると見積もりがないと始まらない、最初からUIデザインや詳細要件が明確になっていてほしいというのも無理がある。。
そんなわけで、最近は「お客さんのところに行って1日作業して、その日数 ✕ 人日ぶんいただく」という稼動日ベース方式でやっています。いつどれぐらいお客さんのところに行って作業するかは、その時々でお互いの状況や残りタスクの量を見て相談する感じで。
このやり方だとお客さん側にもいろいろとメリットがあると思っていて、
- 状況にあわせて仕様とか優先順位を日々変更できる
- 見積のバッファみたいなものが入ってこないので、無駄が少ない
みたいなことがあるかと。
ただこれって、「堤の1日の作業」に対するお客さんの信頼ありきなので、最初は1人日でどれぐらいできそうか、みたいな目安は提示したりはします。
ちなみにプロトタイプ系の案件は例外で、規模的に数人日レベルのものは十分見通しが立つので、お客さんに不明事項を確認して普通に見積もり出してやってます。*3
おわりに
先にもちょっと書いたように、もともとフリーランスになるにあたって迷いもあったわけですが *4、約1年やってみた今となっては、働き方としてかなり自分に向いてるんじゃないか、と感じています。
- 自己責任で、自分の働き方・生き方を自由度高く選択できる
- 自分の行動の結果が、自分にダイレクトに返ってくる
というあたりがやっててとても心地いいなと。
というわけで2015年も引き続きフリーランスとしてがんばっていく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします!ではみなさま良いお年を。
*1:ちなみに2014年2月に独立しました。
*2:標準コンポーネントを並べるだけで、「それっぽく」つくるだけなら結構1日でできたりしますよね
*3:あと、今はスタートアップのお仕事が多いのでたまたまこれで成立しているだけで、もうちょっと規模の大きい会社とお仕事させていただく場合は普通に見積もりレスなんて無理かもしれません。
*4:独立の経緯について話したインタビュー: http://prosheet.jp/blog/engineer/4641/