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[iOS][海外][登壇][BLE]ベルリンとロンドンのiOSカンファレンスで登壇した話 #UIKonf #iOSCon

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先週、ベルリンで開催された UIKonf と、ロンドンで開催された iOSCon の両カンファレンスにスピーカーとして参加してきました。


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UIKonfの会場(登壇してるのはDaniel氏)


まだロンドンにいまして、興奮冷めやらぬうちに記事に書いておきたいと思います。


UIKonf、iOSCon とは?

どちらもiOSの開発者向けカンファレンスです。


同時期の開催で、同じEU内でのカンファレンスではありますが、それぞれ全く関連のない母体によって運営されています。*1


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チケット代はそれぞれ、

  • UIKonf:€450+VAT19%(約66,000円
  • iOSCon:£650(約101,500円)+VAT(いくらか忘れた)

と、日本の感覚からいくとかなり高額です。


UIKonfの方は著名ブログ "RAYWENDERLICH" の "Top 10 iOS Conferences" でも紹介されていて、チケットも早々にソールドアウトとなった人気カンファレンスです。


登壇の経緯

UIKonfは登壇者は計18人、iOSConは計20人です。それぞれカンファレンス側から招待された著名スピーカー陣が何人かいますが、僕は招待されたわけではなく、自分で応募して、投票・審査の上で採択されたCFP枠です。


なお、CFP応募・採択までの経緯の詳細は、下記記事にまとめてあります。


準備

僕はそもそも英語にずっと苦手意識があり、WWDCでSFに行ってもセッションを聞きに行かずにネットで(日本にいても見れる)PDFを見てたり、スカイプ面接はトラウマになってたりするほどでした。


ただ今回はどちらのカンファレンスもお客さんは高額のチケット代を払って話を聞きにくるわけで、英語はしっかりやろう、ということで英語の短期指導やってるところをググって探したりしていました。


そんな中で知り合いの方から紹介していただいたのが、ジョセフ・テイム先生。TEDxTokyoとかのコーチもされている方で、技術もわかる、そして信頼している人からの推薦、ということでパーソナルコーチをお願いしました。 *2


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(レッスン中の様子@先生の自宅)


もともとは僕の方でスライドとTranscript(話す内容の原稿)をつくりあげて、先生の前で練習して変なところを修正してもらう、というつもりだったのですが、実際にはなかなかスライドもTranscriptも完成しなくて、下記のサイクルをぐるぐる回しながらで進んで行った感じです。

  1. スライドの改善作業
  2. 先生のレッスンで新しいスライドにTranscriptをつけていく
  3. 別の誰かに聞いてもらう(改善点が浮き彫りになる)→ 1に戻る


「誰かに聞いてもらう」という話でいうと、知り合いのiOSエンジニアが集まるもくもく会がちょうど出発前日に渋谷dots.さんであり、そこで突発的に発表練習をさせていただく機会もありました。


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(Photo by Himiさん)


try! Swiftを主催されたRealmの岸川さんにはそもそも一度フィードバックをもらいたいと思っていたし、僕より英語が堪能な方々ばかりだったり、dots.さんは講演の場として臨場感ありまくりだったりで、大変ありがたかったです。


登壇@UIKonf

5/23、いよいよ初の登壇。冒頭の写真の通り、UIKonfは体育館みたいな吹き抜けのでかい会場で、ドイツっぽい古い感じの造りでものすごく素敵な場所でした。


ライブストリーミングがあり、恥を晒すことになるかもしれないのでシェアするか迷いましたが、こんな機会も二度とないかもしれない、と思い発表直前にTwitterでシェア。

おかげで日本からも結構多くの方が観ていてくれたみたいです。


緊張は意外とそんなにしませんでした。Maxの緊張を100とすると10か20ぐらい。


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(UIKonfのステージより。Photo by 他の登壇者の方)


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(舞台袖からスタッフが撮ってくれた貴重な一枚)


結果的には大成功で、途中で笑いも起きたし、終わった後いろんな人から「まじで良かったよ!」と声をかけてもらいました。他の登壇者の方々からもお褒めの言葉をたくさんいただきました。*3


下記に動画が公開されています。



とはいえ実は質疑応答は大失敗で、最初の質問への回答はイケてなかったし、2つ目の質問はまったく聞き取れず、テンパってしまいました。終了直後はそれで凹んでたりもしてたのですが、今思えば謝りつつももっと堂々としてればよかったなと。そういうことも経験したからこそ学べたことなので、とにかく良かったです。


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(スピーカーへのプレゼントで「アーキテクチャ」のレゴ(ベルリン仕様)をいただきました)


登壇@iOSCon

出番は5/26、UIKonfの最終日には出ずにロンドンに移動して、その翌日にはもう発表でした。


基本的には同じ内容なのですが、UIKonfは持ち時間30分、こちらは45分なので、少々スライドを付け足し、デモも用意して臨みました。


(こちらの会場は打って変わってオフィス的な雰囲気)


こちらは・・・質疑応答こそUIKonfのときよりまともにできたものの、講演全体としてはUIKonfの方が出来が良かったかもしれない、と思っています。


話し方、内容、いろいろ具体的な反省点はあるのですが、どうダメだったかを一言でいうと、オーディエンスとの一体感を醸成できなかったという点につきます。


質問はそこそこあったので伝わっていたとは思いますが、UIKonfのときのような、「めっちゃよかったよー」みたいな興奮を伴う反応がなかった。発表中も終始淡々としたムードだったので、冒頭からずっとお客さんの関心というかテンションを掴み損なっていた気がします。


良かった点と、反省点

良かった点

今回の発表内容を構築するにあたって一番悩ましかったのは、とっつきやすさと深さのバランスです。


Core Bluetooth を使ったことがあるiOSエンジニアは世界にいくらでもいると思いますが、「ちゃんとエンドユーザーの手に渡った」ハードウェアプロダクトに「がっつり手を動かす立場で」「複数案件」関わったことがあるiOSエンジニアとなると世界でもまだそれほど多くはないと思っていて、そここそが僕のプロポーザルが採用されたポイントなわけで、そういう「僕ならではのバックグラウンド」を活かした話をしないと、わざわざ海外から呼んでくれた意味がありません。


とはいえBLE/Core BluetoothなんてiOSエンジニア全体から取ってみればやはりニッチな話。いきなり「BLEの経験がある人だけがわかるディープな話」をしてしまうと多くの人の脳内で「この話は自分には関係ないな」枠に分類されてしまいます。


というわけでこだわったポイントは、

  • BLEがわからない、Core Bluetooth に興味がなくても楽しめる
  • たくさんの実案件を経験してきたからこそ話せる

という(一見)相反する2つの要件を満たすこと。


そのために構成やら図解やらデモ動画やら何度も何度も改善を繰り返して今の形になりました。それなりのアプリを1つ作れるぐらいにはスライド作成に時間をかけたと思います。



で、このこだわりポイントはUIKonf(@ベルリン)ではめちゃくちゃ狙い通りにヒットしました。講演がシングルトラック(同時に複数の講演が行われることがない)なので、もともとBLE/Core Bluetoothに興味がなかった人も巻き込んで、多くの人に "really great" と言ってもらえました。


反省点

一方iOSCon(ロンドン)では講演がマルチトラックで、しかもサブ会場なので、そもそも興味のない人は来なかったんじゃないかと思います。


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(iOSConスケジュールより抜粋)


で、お客さんは多くはなかったし、そんな中で僕は柔軟にアドリブでお客さんの気持ちを掴んだりすることもできず、前述の通り淡々とした雰囲気のまま進めてしまいました。



ひとつやればよかったなと思うのは、もっと非経験者も興味を持てるタイトル・概要にすること。タイトルが "Practical Core Bluetooth" だと、Core Bluetoothに興味がない人がわざわざ選ぶことはあまりないんじゃないかと思います。プロポーザル提出時点ではこの辺のことがまだ見えてなかった。


あと、何度も同じ話をしてると自分自身のテンションが乗らなくなってくる、というのもあるので、そういうページはどんどん削除して、自分も話していて楽しいものに差し替えていく、とかも必要。


try! Swift では多くの登壇者がポケモンを題材にしていてその度に笑いが起きていたのは記憶に新しいところですが、今回 iOSCon でも @ayanonagon さんの "Boundaries In Practice" の話を聞く機会があり、そこにはポケモンの影はなく、掴みの話もアップデートされていました。その国の文化・カンファレンスのカラー・他の登壇者の発表といった文脈を汲んで、発表内容に少しでもアレンジを加えて最適化するのは大事だなと。


その他のアクティビティ

UIKonfはカンファレンスとして素晴らしく、参加者みんなの一体感があったのですが、その理由のひとつとして、開催日前日の「Social Event」が非常に良く機能していたと思います。


「Social Event」は、自転車ツアーやビール工房ツアー、ボートトリップツアー等から選べて、僕は(英語コミュニケーションが未だに怖いし発表の前日なのでスキップしようかと迷いながらも前々日ぐらいに)自転車ツアーに申し込みました。


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結果的にめちゃめちゃ参加して良かったです。


まず、自転車ツアーなので、そんなに周りの人とずっとしゃべってなくても良くて、たまーに横に並んだときにちょっとしゃべることがある、ぐらいの緩いコミュニケーションが僕にはちょうど良かった。


で、それぐらいでも効果は絶大で、翌日の本編では数百人の参加者が訪れるわけですが、そんな中で前日に数時間一緒にチャリこいだ人と会うと、妙な親近感がありました(しゃべったのは少しだけだとしても)。


あと、開催前夜にはキックオフパーティー、初日の夜にはスピーカーディナー、2日目の夜にはアフターパーティ*4と、毎晩何かしらの懇親会がありました。


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(スピーカーディナー。ネイティブ && 超饒舌な人達に囲まれて全く話についていけず。。)


iOSConも開催前夜にスピーカーディナー*5、初日の夜にパーティがありました。


コスト

旅費・滞在費はカンファレンス側が出してくれました。なので、日本 ↔ ベルリン、ベルリン ↔ ロンドンの飛行機代、(会期中の)ベルリンとロンドンでのホテル代はかかっていません。もちろんカンファレンスのチケット代もかかっていません。


ただ、僕はフリーランスなのですが、前述の通り5月はほとんどスライド作成と練習に費やしました。結局仕事をしたのは2人日。僕は定期収入的な契約は一切してないので、5月の収入は2日分だけです。


得られたもの

そもそもカンファレンスに応募したのは、フリーランスとしての活動の場を海外に広げるための「入り口」を増やすための活動の一環でした。

ベルリンだけでなくシリコンバレー等に行っても毎回感じることですが、無力感が半端ないです。仕事をやってみたりハッカソンに出てみたりして、技術的に通用しないということはないと思ってますが、誰も僕のことを知らないし(知名度以前に知り合いがいないという意味で)、そういう僕がベルリンに行ったところで、現地の他のスタートアップの方から「会いたい」とか言われることはありません。


(中略)


僕がニュースとかで海外のそういう系の魅力的なプロダクトを見るタイミングではもう遅くて(メディアに出て話題になっているということはある程度開発が進んでいるか完了しているケースが多い)ファウンダーが資金調達して本格的に開発をしようとするタイミングであちらから見つけてもらえるようにならないといけない。


で、LinkedIn や AngelList で人を探す場合は大抵「住んでいる場所」でフィルタされてしまうので、英語ブログという「海外スタートアップに自分を見つけてもらうためのチャネル」を用意する必要があるなと。


僕のGitHubアカウントは今でも多少そういう感じの機能をしてくれてますが、(後略)

(以前書いた記事より)


で、具体的に考えていた「海外カンファレンスに登壇するメリット」は以下の通りです。

  • ログに残る
    • 英語でググッて見つかる「入り口」になる
  • 著名な常連スピーカーの方々に自分の話が届く
    • 別のカンファレンスにも呼ばれるかもしれない
  • 海外から仕事がくるきっかけになるかもしれない
  • 海外に行けるのが嬉しい/楽しい
    • 旅行もいいけど個人的には本業と絡んだほうが楽しい
    • 航空券代・ホテル代は出る(カンファレンスによるかもしれない)
  • 英語を「必死で」練習する機会になる
    • 30分ぶんの、自分の得意な分野について話す英語表現の「引き出し」 をつくる機会にもなる
  • 経歴に書ける

このうち、ログに残る、海外に行ける、英語表現の引き出し、あたりは参加した時点で自動的に達成されたわけですが、他の著名スピーカーが別のカンファレンスにも推薦してくれそうかというと、それにはまだまだかなと。


また「海外から仕事がくるきっかけになるかもしれない」という点については、今のところその気配はありませんが、仕事の話というのはいつでも忘れた頃に思わぬところから来るものなので、いつか今回の発表に起因する話が来るかもしれない、とは楽観的に思っています。ドイツから仕事が来るようになったときもそうでした)


経歴に書ける、というのは忘れてたので後でレジュメやLinkedInプロフィールに追記しておこうと思います。


あと、上記の目論見には書いてませんでしたが、何よりも良かったのは、「海外のカンファレンスに応募し、登壇する」という選択肢が自分の中で増えたことです。


未体験のものはいつでも何だって恐ろしくて、振り返ってみれば日本の勉強会に初めて参加したときは、参加すること自体が怖かったし、周りの人に話しかけることもできず逃げるように帰ったわけで、自分が発表するなんて考えられないことでした。こうやってひとつひとつ恐怖心を克服してコツコツ前進してきたので、(クオリティはまだまだですが)「できること」がまた増えて前進できたことが嬉しいなと。


評判

Twitterより


まとめ

書きたいことをずいぶん端折ったのですがそれでも長くなってしまいました。思い出に残る体験としても、キャリアの面からも、スキルアップの面からも、すごく良い経験ができたと思っています。


素晴らしいカンファレンスを主催されたオーガナイザーの方々、コーチしてくれた先生、未熟なプレゼン練習につきあってくれた方々、皆様に感謝いたします。



ちなみに来月、もうひとつ海外カンファレンスでの登壇が決まりました。

こちらもマルチトラック型、しかも(最近もらったスケジュールによると)とある百戦錬磨のスピーカーの裏・・・がんばります!


*1:僕のプロポーザルが両方で受理されたのもたまたまです。実際、両者の審査フローはまったく違っていました。

*2:ちなみに先生、東京マラソンに毎年仮装して出ていて、すごく有名な方です: http://josephta.me/

*3:気の利いた返しができなかったことが悔やまれますが。。Thank you しか言えなかった。

*4:会場が遠かったのとまだロンドン講演が控えてたので参加せず

*5:所用で参加できず


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